病院に行って診断料を支払うと、レセプトと呼ばれる明細表を受け取るはずです。医師による医療行為の対価である診療報酬は、一般的なサービスのように当事者間でいかようにも決められるわけではなく、国が定めた基準に則って決められるポイントを用いて算出されることになっています。そのため、どの医療機関で診断を受けても、その内容が同じであれば、支払う診療報酬も同じであるというのが基本です。
レセプトは、この診療報酬のもととなるポイントの明細を記載して患者に通知するために作成されている書面なのです。
このように、診療報酬が厳格に決められているのは、過当競争に陥ることによって医療のレベルが低下するというのを防止するためとされています。もし診療報酬を自由に決められるのであれば、より安い金額で医療サービスを提供する医療機関に患者が集中し、高いところは淘汰されていくでしょう。安い診療報酬で医療を提供しようとすると、医療器具を必要最小限にしたり、看護師の人数を削ったりして、患者に対して十分なケアができなくなってしまう恐れがあるのです。
そのような事態を招かないように、診療報酬が定められているのですが、それを受け取る条件があります。例えば、看護師については1人あたり最大で患者7人となるように人数を確保することが求められているのです。看護師の減らしすぎによって十分な看護を受けられない患者が発生しないように、あらかじめ手当されているということが分かります。